若者殺しの時代(堀井憲一郎著)
■2011年5月20日
「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである・・・
1980年代から数年前までのサブカルチャーの歴史が本当によく調べてあります。もの凄い調査力です。
「量は質に変わる」 昔お世話になった人から言われた言葉を思い出しました。
「あーこんなドラマあったあったー」 「ディズニランドにあのアトラクションができたのは そう、この頃だっただったー」 とか 個人的に懐かしい内容がもりだくさんで、さらっと読むことができました。
「若者殺しの時代」、、、 私も殺されている世代ってことになります。
そんなふうに考えたことはありませんでしたが、「あの頃に戻りたい、あの頃はよかったなぁ〜」という思いで読んでしまうと段々そんな気がし始めるから不思議です。
しかし 「今を受け止めて 前に進もう」と考えると このタイトルの意味自体がピンとこなくなってしまいますし、著者も じゃーこうしたらいいのでは?という提言はありませんでした。
それはさておき、視点の面白さは独特のものがあると思いました。
・ 1990年代にはミステリー本の重量が重くなっている
・ 戦争の記憶の薄れが社会党の凋落や朝の連ドラ視聴率低下につながっている
・ クリスマスやディズニーランドを通した女性の地位確率とそれに必死についていこうとする男たちという構図
中でも、1980年後半からのトレンディードラマによる女性の地位確立により、女性が「恋愛レートを上げた」という表現は なんか分かる気がしました。
コンビニや携帯などに象徴される便利になった世の中が、集団や家庭をバラバラにしていった。
昨年あたりから 無縁家族 なんて言葉もよく聞くようになりました。
若者は 損か? 得か?
絶対こっちという答えは一生かかっても出せないと思いますが、過去の積み重ねが現在の自分である以上、できるだけ後悔しない日々を送りたいと思いました。
そこに立って、その時 分かること ばかりですからね。