悼む人(天童荒太著)
■2009年10月22日
故人が「誰を愛し、誰に愛され、何をして人に感謝されたか」を事故現場や事件現場で聞いて回り、そして悼む。
悼む対象は全くの見ず知らずの人々。
確かにここに生きた人がいたのだと心に刻んでいく主人公「坂築静人」の旅。
癖のある事件記者、末期がんの母親、夫殺しの女性の視点で話は進んでいきます。
静人の行為は、ある時は感謝され、またある時は偽善者・不審者と非難されます。
日々たくさんの事故や事件が起きています。しかし、そういう出来事は記憶に残りますが、実際に亡くなった方の名前や人柄は忘れてしまうことが多いです。このどうしようもない?事実に静人は向き合っていきます。
この本を読んで、母や祖父母、友人、先輩などもうこの世にはいない人のことを考えずにはいられませんでした。
ああ、この人は「私に何をしてくれた、何を言ってくれた、何を伝えてくれた」と 色々な思いが頭の中を巡りました。
そして今この世にいるお世話になっている人達に「○○さん、私はあなたに感謝してます」としっかり伝えなければと思いました。
この本は、生きる価値は「誰を愛し、誰に愛され、何をして人に感謝されたか」にあるのだと教えてくれたように思います。