イズミ株式会社

2011/8/19 金曜日

四つ話のクローバー(水野敬也著)

Filed under: — webizumi @ 11:17:17

■2011年8月19日
 

 

 「夢をかなえるゾウ」の著者の最新作で、幸せになるためのヒントが4つのショートストーリーの中に込められています。

 
 

 第一話では、たった一つの成功法則は・・・

 

 
 

 

 

 ” がんばる ”

 

 

 

 

 え?何それ。

 

 

 
 「人間は我慢することができない」という前提に立って、大きな願望によって小さな願望を従わせる。 これが秘訣と書いてあります。

 

 願望を大きく育て、想像を加えることが、「頑張らねばならない」を「頑張りたい」に変える   のです。

 
 

 といった感じで、第二話では、大晦日の一大イベント「ハッピーコロシアム」という幸せ度を競い合う物語で、「欲望」と「感謝」が真っ向から対決します。

 

 

 第三話では、幽霊になった男性が「見えない学校」で学ぶ「共感」。
 

 第四話では、氷の親子が「死」と向き合います。
 

 

 書いてあることは当たり前のことかもしれまんが、くだけた物語として提案されると、スーッと入ってきます。

 

 

 次回作も待ち遠しいです。

 

 

 

2011/8/2 火曜日

四十九日のレシピ(伊吹有喜著)

Filed under: — webizumi @ 18:30:25

■2011年8月2日

 

 亡くなった乙美さんの旦那の熱田さん・娘の百合子が、ギャル井本・ブラジル人ハルミ協力のもと、乙美さんの死から立ち直り、前に進んでいく心温まる49日間の物語です。

 

 乙美さんの「あしあと帳」をみんなで作ることで、沈んだ気持ちがどんどん前へ向いていきます。

 

 

 

 料理がとても上手だったこと、とても明るかったこと、世話好きなこと、いつも前向きで弱音を吐かなかったこと、太めなこと、登場人物の乙美と重なる部分が多すぎて、今は亡き母のことを思い出しながら読みすすめました。

 

 

 乙美さんが結婚する理由で「自分が作ったものを「おいしい」と言ってくれた人」と言うのがありました。

 

 とても単純なことだけど、大事なことが詰まっている、とても共感できる一文でした。

 

 

 

 亡くなった母親から今でも多くの影響を受けています。

 

 私にかけてくれた言葉、残っている手紙 何をとっても私にとっては充分なレシピです。

 

 自分は妻や子供にどれだけのレシピが残せるだろうか。

 

 そんな思いになりました。
 

 

 

 

 とても気に入った乙美さんの台詞

 

 「テイクオフ・ボード、飛び箱の踏切板ってあるでしょう。私たちはそれなんです。思い切り走って、板を踏み切って箱を飛んだら、もう思い出さなくていい。過去を飛び越えた事に自信を持って、まっすぐに走っていけばいいんです」

 

 「私も誰かのテイクオフ・ボードになれるようなんです。生きている、生活をする。気にかけることがあり、気にかけてくれる人がいる。それだけ人は誰かを飛ばし、飛ばしてもらい、一緒に前に進んでいる気がします。それは無数の匿名のテイクオフ・ボード、お互いさまだから・・・」
 

 

 

 

 

 あなたも私も きっと誰かの テイクオフ・ボード・・・

 

 

 

2011/7/12 火曜日

「また、必ず会おう」と誰もが言った。(喜多川泰著)

Filed under: — webizumi @ 14:25:45

■2011年7月12日

 

 この本では 「 人生は誰と出会うかで決まる 」 ということを説いています。

 

 産まれた時から出会いは始まり、両親、祖父母、兄弟・・・

 

 学校に行けば先生や友人、先輩、後輩・・・結婚すればパートナー、子供・・・社会に出てからも生きている以上、色々な人との出会いと別れがあります。

 

 あの時、あの選択をしていなければきっと出会わなかったであろう人が、その後の人生に大きな影響を及ぼすということがこれまでにも数えきれないくらいありました。

 

 そんな出会いの醍醐味を、主人公の忘れられない夏休みのできごとを通して感じる本でした。

 

 ・今の状況を楽しむ。
   ⇒ 一瞬最悪と思える状況でも、考え方次第でチャンスにもなりうる。

 

 ・居心地のいい場所は、周りの人が何をしてくれるかによってではなく、自分が周りの人に何をするかで決まる。
   ⇒ 色々な節目に手紙を書いたり、電話したり、メールをするなど、自分ができることをただやっているという関係がいい人間関係を作っているように思います。

 

 ・(お世話になった人達への)掃除での恩返し
   ⇒ 誰でもできることなのになかなかできないことの代表格。しかし、それを自然にできることに変えられたらきっとうまく生きていける。床に落ちて拾われないゴミを拾って捨てられるように、洗われていないコップを見たら洗えるように、自分に言い聞かせます。

 

 ・自分のメンツを守るために、他人のメンツをつぶしてはいけない
   ⇒ 耳の痛い言葉です。自分の意見を通した所で、相手には借りを作っているような嫌な気持ちになります。

 

 ・恐怖や打算だけで人に従うな。自分の物差しを持って、自分で考える人間になれ。自分の人生を他の奴のメチャクチャな命令にメチャクチャにされるな。他人のメガネはほっとけ。
   ⇒ 時々意識していないと、無意識に楽な方、人の価値観や打算で行動してしまうことがあります。

 

 ・人間は誰かの役に立つ生き方に専念したとき、それによって得られる報酬に関係なく、幸せを感じることができる。
   ⇒ やりがいって大事ですね。

 

 ・管理するのではなく、信頼を。結果を求めずに、ただひたすら待つ。
   ⇒ 子育て中の私には特に響く言葉です。

 

 ・命の有限性を感じる経験を通して、人は使命感に目覚めることができる。
   ⇒ 学生の頃に大きな病気をした時、祖父母やお世話になった方々の死、友人の死、そして母親の死。命の有限性は若い頃から嫌というほど思い知らされています。使命感というものとはニュアンスが違うように思いますが、毎日をしっかり生きるということはいつも意識している事です。

 

 

 同著者の本で、『 手紙屋 』もいいです。

 

2011/6/2 木曜日

マリアビートル(伊坂幸太郎著)

Filed under: — webizumi @ 11:23:20

■2011年6月2日

 

 今回も完全に してやられました。

 

 10人を超す個性的な登場人物がそれぞれのミッションを進めていく中で、「え、この人があれなの?」とか「こことここがそうつながったかー」という伊坂作品お得意のパターン。

 

 チョイ役っぽい登場人物や、各登場人物が話す何気ない言葉が これでもかーと見事に絡み合う、全く無駄のないストーリー。

 

 何でも機関車トーマスの登場キャラに例えて話をする「檸檬」、ありえんでしょーというくらいの運の悪さを持つ「七尾」のキャラ、それと父 木村がとても気に入りました。

 

 悪意に満ちた中学生 王子。こんな中学生がいたら ころっとやられてしまいそうです。

 

 あーこの面白さをどう伝えたらいいのか、最近の伊坂作品は少し作風が変わってきていると感じていたのですが、伊坂ファンになった頃の気持ちを呼び起こしてくれる傑作でした。

 

 新幹線の中という限定的なシチュエーションで これだけの物語を考えてしまう著者は 伊坂幸太郎さんは やっぱり すっご〜い!

 

 

2011/5/20 金曜日

若者殺しの時代(堀井憲一郎著)

Filed under: — webizumi @ 18:34:57

■2011年5月20日
 「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導しはじめる時期なのである・・・

 

 

 1980年代から数年前までのサブカルチャーの歴史が本当によく調べてあります。もの凄い調査力です。

 

 「量は質に変わる」   昔お世話になった人から言われた言葉を思い出しました。

 

 

 「あーこんなドラマあったあったー」  「ディズニランドにあのアトラクションができたのは そう、この頃だっただったー」  とか 個人的に懐かしい内容がもりだくさんで、さらっと読むことができました。

 

 「若者殺しの時代」、、、 私も殺されている世代ってことになります。

 

 そんなふうに考えたことはありませんでしたが、「あの頃に戻りたい、あの頃はよかったなぁ〜」という思いで読んでしまうと段々そんな気がし始めるから不思議です。

 

 しかし 「今を受け止めて 前に進もう」と考えると このタイトルの意味自体がピンとこなくなってしまいますし、著者も じゃーこうしたらいいのでは?という提言はありませんでした。

 

 それはさておき、視点の面白さは独特のものがあると思いました。

 

 ・ 1990年代にはミステリー本の重量が重くなっている
 ・ 戦争の記憶の薄れが社会党の凋落や朝の連ドラ視聴率低下につながっている
 ・ クリスマスやディズニーランドを通した女性の地位確率とそれに必死についていこうとする男たちという構図

 

 中でも、1980年後半からのトレンディードラマによる女性の地位確立により、女性が「恋愛レートを上げた」という表現は なんか分かる気がしました。

 

 

 

 コンビニや携帯などに象徴される便利になった世の中が、集団や家庭をバラバラにしていった。

 

 昨年あたりから 無縁家族 なんて言葉もよく聞くようになりました。

 

 若者は 損か? 得か?
 

 絶対こっちという答えは一生かかっても出せないと思いますが、過去の積み重ねが現在の自分である以上、できるだけ後悔しない日々を送りたいと思いました。

 

 そこに立って、その時 分かること   ばかりですからね。

 

 

 

2011/5/12 木曜日

手紙屋(喜多川泰著)

Filed under: — webizumi @ 13:28:04

■2011年5月12日

 

 『 「また、必ず会おう」と誰もが言った。 』で話題の喜多川泰さんの手紙屋を読みました。

 

 この本では 情熱をもって行動すること を説いています。

 

 就職活動真っ只中の主人公が偶然知った「手紙屋」と10回の手紙のやり取りを行う中で成長していく物語です。

 

 就職活動へのアドバイスで構成されているものの、社会人になって10年以上の私にとっても気づかされることの多い本でした。

 

 まだおそらく20年くらい先の気が早い話ですが、息子が就職活動を始める際にはぜひ読んで欲しい1冊です。

 

 

 

 ・「相手の持っているものの中で自分が欲しいものと、自分が持っているものの中で相手が欲しがるものとをお互いがちょうどいいと思う量で交換している」という「物々交換理論」
  ⇒ 仕事を通じて欲しいものがお金だけ   とは思っていませんが、仕事を通じて得られる経験、新たな次の仕事、信頼関係 そんな言葉が次々浮かびました。

 

 
 ・相手にこうなってほしいという「称号」を与える。約束を破らない人、優しい人など。
  ⇒ 不思議な事に周りを見渡すと、なってほしい ほしくない に関わらず、自分が勝手にそう思っているいわば「称号」どおりの人が多いこと多いこと。
 ・人に備わっているあらゆる性格(良いもの、悪いもの)の中から何を引き出せるか。
  ⇒ できれば良いものを引き出せる人でありたいですね。反省反省。
 ・失敗からの学び
  ⇒ 何もせずに失敗の少ない人生より、色々やって失敗もするけど何か身につけたと思える人生がいいなぁ。
 ・”自分に向いているもの”を探しても見つからない。自分で気づいていない自分の才能を開花させるチャンスを失う。会社の活動自体が自分をワクワクさせる、そんな会社探しを。会社に入ったら、何を担当するかは分からない。自分が向いているもの、得意なものだけをやってればいいわけではない。であれば、会社の向いている方向(活動)が自分にとってワクワクするかを優先するべき。
  ⇒ システムだけは嫌と思っていたのに、今ではシステムを担当している。しかも楽しんでやっている。社会人になってから気づきました。

 

 ・目の前にあるものに全力を注ぎ、「できるだけ大きな壁を、たくさん越える生き方」を。

 

 ・壁を超えた時に出会うたくさんの人を応援団と思って事にあたる。

 

 ・会社が発展するということは、会社から生み出される商品やサービスを使って生きる人が増えるということ。

 

 ・夢をかなえることができなかった人は「私には才能がなかった」と言い、夢をかなえることができた人は「どうしてもやりたいことを、情熱を持って続けてきただけ」と言う。成功する人と、できない人の考え方の相違はここにある。「才能」に頼るか、「情熱」に頼るのか。
  ⇒ 「才能」あるわけない。「情熱」ならあるかな。一つ一つ夢をかなえていきます。

 

 

 

2011/4/30 土曜日

累犯障害者(山本譲司著)

Filed under: — webizumi @ 13:51:09

■2011年4月30日

 

 タイトルの「累犯」とは 繰り返し犯罪を行うこと を意味します。

 

 著者は菅首相の公設秘書経験がある元衆議院議員。

 

 給与流用事件で逮捕され、その後の獄中経験の中で見えてきた日本社会の闇の部分。

 

 被害者としての障害者だけでなく、加害者としての障害者にもスポットをあてています。

 

 社会の受け皿がないため罪を繰り返し、刑務所に入ろうとする人。そしてその再犯率の高さ。

 

 聾唖者で組織された暴力団の存在。

 

 障害者年金に目をつける組織。

 

 数々の誤認逮捕。

 

 初めて知ることばかりで、これは本当の事なのか? と信じたくない話が幾つも出てきます。

 

 中でも、「手話は世界共通なんだ」と何かで聞いて信じていたことが、実は 健常者が認識している「手話」と聴覚障害が使っている「手話」には違いがあるんだということはショックでした。

 

 そのために取り調べで交わされる会話にニュアンス・解釈のズレが生じ、誤認逮捕という悲劇を生んでしまっていること。

 

 著者の周りには 刑務所が一番暮らしやすいという受刑者が何人もいるそうです。

 

 著者の犯罪は許されるものではないと思いますが、その経験がなければ日本の現実が本という形で世に知られることはなかったと思うと不思議な気持ちになり、本を読む限り著者の活動を応援したくなってしまいます。

 

 相当な取材をしなければこんな本は書けないだろうとも思いました。

 

 「福祉による暴力」という言葉も頭に残りました。

 

 福祉や教育、行政・病院に障害者待遇の改善を求める話が出てきますが、そちらの立場の本も読んでみたいと思いました。

 

 

2011/2/22 火曜日

憚りながら(後藤忠政著)

Filed under: — webizumi @ 18:47:32

■2011年2月22日

 

 憚る(はばかる)とは 遠慮する・つつしむといった意味なのですが、文中では憚っているとは思えないハッキリとしたものいいで痛快です。

 

 著者は元山口組後藤組組長で、現在は仏の道という異色の経歴の持ち主。

 

 関わった事件が山一抗争、伊丹十三襲撃、武富士事件などなど有名なものがたくさんあり、他にも大物演歌歌手との付き合い、創価学会との攻防など波乱に満ちた人生録です。

 

 「仁義なき戦い」を思わせるヤクザのバイオレンスなシーンが何度も出てくるのですが、そんな極限状態から生まれる「大義」「覚悟」「決意」などに共感してしまう所もありの、何とも男くさい本でした。

 

 遠くから見ると簡単に命をかけたり、人生をかけたりしているように思えますが、何とも極太な人生物語でした。
 

 

2011/2/12 土曜日

資本主義と自由(ミルトン・フリードマン著)

Filed under: — webizumi @ 11:46:20

■2011年2月12日

 

 経済に少し興味を持つと頻繁に出てくるミルトン・フリードマンという名前。アメリカの経済学者で1976年にノーベル経済学賞を受賞しています。

 

 代表作の「資本主義と自由」を読んでみました。

 

 政府の役割を多数認めつつも、政府がやる理由がないものの例として

 

 ・輸入関税や輸出制限
 ・産出規制(農作物の作付面積制限)
 ・産業規制
 ・年金制度
 ・住宅政策
 ・郵便事業
 ・有料道路  などをあげています。

 

 そう言えば小泉政権では「郵便事業」「有料道路」の話は出ていたな〜なんて思いながら読みすすめました。

 

 この本は、アメリカの政治に対して書いてあるにもかかわらず、金融政策・財政政策から職業免許制度、所得の分配、社会福祉に貧困対策まで現在の日本で語られている多くの問題が論理的に語られています。

 

 今の政治を理解する上で、こんなにもマッチする本がなんと1962年に出版された本というからまたびっくりです。

 

 なんという先見性。

 

 正しいのかどうかは立場によって違うのでしょうが、いちいち納得させられる本でした。

 

 日本のこれからを考えるのにとてもいい教科書だと思いました。

 

 こういう人を予言者と言うのでしょうか。

 

 

2011/2/7 月曜日

くじけないで(柴田トヨ著)

Filed under: — webizumi @ 8:35:24

■2011年2月7日

 

 99歳の詩人 柴田トヨさんの「くじけないで」が今、売れに売れているようです。

 

 取締役が持っていたので借りて読ませていただきました。

 

 優しい言葉の数々、すーっと心に入っていく詩ばかりで 30分くらいであっという間に読み終わりました。

 

 99歳の方に言うのも変ですが、か、かわいい。

 

 1つ紹介しますと、例えば「貯金」という詩。

 

 

私ね 人から
やさしさを貰ったら
心に貯金をしておくの

 
さびしくなった時は
それを引き出して
元気になる
 

あなたも 今から
積んでおきなさい
年金より
いいわよ
 

 

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